『貴族探偵シリーズ』(きぞくたんていシリーズ)は、麻耶雄嵩の短編推理小説のシリーズである。初出は『小説すばる』2001年2月号。『小説すばる』2017年5月号に新シリーズの短編が掲載。[1]『小説すばる』2018年5月号より『貴族探偵対怪盗マダム』としてシリーズ初の長編連載が開始されている。, 主人公は探偵でありながら推理せず、使用人に推理をさせる貴族という設定である[1][3]。これについて作者の麻耶は、「本人は何もしなくても現れただけで事件を解決できる存在」を面白いと思い、時代劇『水戸黄門』をイメージして書いた作品だと語っている[1]。, 雑誌『小説すばる』で連載された短編作品である。既刊の集英社文庫のカバーイラストは森美夏、集英社みらい文庫のカバーイラスト・挿絵はきろばいとが担当している。, 『貴族探偵』に収録される短編の副題はヨハン・シュトラウス2世の作品名から取られている[4]。, 『ホタルの叫び』(たばこを嗜む大人のウェブサイト『ちょっと一服ひろば』にて2017年11月6日~連載5回に分けて無料公開), 『貴族探偵対怪盗マダム』(『小説すばる』2018年5月号~2019年3月号まで連載)全9回, 『貴族探偵』のタイトルで、2017年4月17日から6月26日まで毎週月曜21時 - 21時54分に、フジテレビ系の「月9」枠で放送された[2]。月9ドラマ30周年記念作品[3]。主演は相葉雅紀[2]。, 相葉が2015年4月期に同枠で主演したドラマ『ようこそ、わが家へ』と同じく、脚本を黒岩勉、プロデューサーを羽鳥健一、演出を中江功が担当する[1][17] [注 1]。, 羽鳥が本屋で原作小説を偶然手に取り、ドラマ化を企画した[19]。企画が通った時点では本作が月9枠30周年の節目だと気づいていなかったという[20]。原作小説『貴族探偵』、『貴族探偵対女探偵』を映像化し、オリジナルの要素を加えた1話完結形式を基本とする[3]。原作者である麻耶の意向で謎解き部分は原作に忠実に描かれている[21]が、ドラマではさらに1つの事件につき女探偵( = 高徳愛香)の推理と貴族探偵(の使用人たち)の推理という2つの謎解きが存在する。原作にない部分の女探偵の謎解きはドラマオリジナルで脚本の黒岩が手がけた[22]。またドラマ最終話に向けて愛香の師匠である喜多見切子の謎と貴族探偵の謎をオリジナルで制作した[23][24]。, 貴族探偵の衣装は原作設定のスーツとは異なり、貴族イメージを強調したナポレオンジャケットやブーツであり、ドラマのためにハンドメイドで仕立てられた[25]。また貴族の紋章は演出の中江が考案し、孔雀やノースポール、ヤドリギなど、貴族探偵と演じる相葉にちなんだ要素がモチーフとなっている[26] [注 2]。, 3月8日クランクイン、6月19日クランクアップ[28]。主人公である貴族探偵を演じる相葉は3月10日に撮影開始した[29]。しかし撮影前に貴族研究者やマナー講師らを取材して所作を学んだものの、実際に撮影に入ってみると「無機質」で作品のイメージに合わず[30]、一本調子でテンポが悪くなってしまった[31]。そこで貴族探偵の所作については優雅さと品を意識しつつバランスを取るため[23]、貴族探偵のキャラクター像を変更して後日再度の撮影が行われた[30]。, 原作のコミカルな部分を生かし[19]貴族探偵以外のキャラクターがコメディータッチで描かれているのに対し、貴族探偵はミステリアスに描かれている[32]。謎解きのシーンは、フリップを用いた説明や使用人たちによる再現VTRでの解説などユーモアあふれるものとなっており、各話のラストには、本作はパロディやバラエティに富んだ「ファンタジードラマ」である旨が掲示される[33]。ドラマ版の貴族探偵は原作とはタイプが異なるが、「いけ好かないけど憎めない」貴族探偵を相葉は上手く演じていると原作者の麻耶は評した[34]。, 初回放送前に、フジテレビで史上最多パターンとなるPRスポットを放映した[36]。3月1日からドラマ初回放送日の4月17日まで平日42日間[37]、毎日5秒間の日替わりスポットを放送[36]。すべてつなぎ合わせると1つのストーリーが浮かび上がる仕掛けが用意されている[36]。, 月9作品としては史上初となる、フジテレビ系の情報番組『とくダネ!』内でのスピンオフドラマが放送された[38]。冬樹和泉役の田中道子と常見慎吾役の岡山天音が事件解決後のやりとりを演じる約2分のドラマであり、毎週月曜朝の『とくダネ!』で当夜のドラマ本編の内容を先取りすることになる[38]。情報番組の制作局がドラマに携わるのは月9では異例のことと報道された[38]。また冬樹役の田中は、4月11日から17日までFODで配信されたスピンオフ『カンシキTV』にも出演しており、事件現場をVR映像で紹介した[39]。また第2話ではLINE LIVEやPeriscopeで、次回ゲスト出演者による実況生配信が行われた[40]。, ドラマのポスターはアーティストの清川あさみが手掛け、清川の代名詞である「写真に刺繍を施した独特な手法」でデザインされた[25]。, 本作の全話平均視聴率は8.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯別・リアルタイム)[41]。単回視聴率は#放送日程で後述する。月9枠30周年で「フジの社運を賭けた」ドラマといわれたこともあり[42]、制作局であるフジテレビの社長・宮内正喜 [注 3]は平均2桁に満たなかった本作の視聴率について「ひじょうに残念」とコメントした上でキャストをねぎらった[43]。, 視聴率は振るわなかったものの、ザテレビジョンによる「視聴熱」ランキングで2017年4 - 6月放送の春ドラマで視聴熱1位を記録[44]。また原作ファンである視聴者からの絶賛の声が目立ち[45][21]、ドラマオリジナルの要素も好意的に受け止められた[46]。一方で第4話では演出が誤解を生んで幽霊騒ぎが起き、フジテレビが演出について言及することとなった[47]。, フジテレビ番組審議会委員長を務める但木敬一は、視聴者が推理を楽しむための「手がかりの出し方が雑すぎ」て伏線が分かりにくいとし[48]、ドラマウォッチャーの吉川織部は本作の視聴率について、原作ファンに評価されたため「小説の実写化としては成功したのかもしれないが、ドラマとしては失敗しているといっても過言ではない」と述べた[49]。一方でデータニュース社の研究員・大石は、視聴率獲得のために分かりやすさを重視する近年のドラマとは異なり、一見分かりくいところに丁寧に伏線を張る「連ドラとしての面白さを追及した意欲作」であると述べた[42]。, データニュース社のアンケート「テレビウォッチャー」によると視聴者の評価は以下の3点で二分した。1つ目は好青年の相葉がミステリアスな主人公を演じるギャップ、2つ目はミステリー作品でありながら主人公が謎解きをしない意外性、3つ目はいわゆる「月9」枠の作品"らしくない"作風である。このため同アンケートの満足度調査では、従来の月9視聴者である女性よりむしろ、男性に比較的好評を得たとの結果が示された[50]。同様に毎日新聞のドラマ担当記者による座談会でも、謎解きや設定の面白さが評価される一方で、主人公を演じる相葉に貴族らしさが感じられない点や、主人公が謎を解かない展開に物足りなさを感じる意見があった[51]。, コラムニストである木村隆志は、『とくダネ!』での毎週のスピンオフやLINE LIVEでの出演者のトークなど本作のプロモーションは新しい形だとし[52]、全話終了後には女探偵と貴族探偵の2つの推理を毎回用意した脚本や最終回の展開を評価した[53]。また前掲のドラマウォッチャー吉川は、回によって出来の良し悪しがあるとしたものの、2つの推理によって視聴者の裏をかき、なおかつ原作を超えたトリックとストーリーに構成しなおした第9話の脚本を評価した[54]。, I LOVE みんなのどうぶつ園 - 相葉マナブ - 嵐・相葉雅紀のレコメン!アラシリミックス - VS魂(2021.1より), 愛LOVEジュニア - ミュージック・ジャンプ - SHOW-NEN J - Gyu!と抱きしめたい! ?”, http://www.cyzo.com/2017/05/post_32653_entry.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/05/09/kiji/20170508s00041000231000c.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/05/16/kiji/20170516s00041000105000c.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/05/30/kiji/20170529s00041000463000c.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/06/06/kiji/20170606s00041000131000c.html, “相葉主演 月9「貴族探偵」第9話は上昇8.4% 「こうもり」映像化好評「神改変」”, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/06/13/kiji/20170613s00041000088000c.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/06/20/kiji/20170612s00041000215000c.html, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=貴族探偵シリーズ&oldid=80081998, 「ルミエール・ジャパン・アワード2017」『貴族探偵』スピンオフ『カンシキTV』VR部門で優秀作品賞が受賞。, 第27回年間ドラマ大賞2017で作品賞、主演男優賞(相葉雅紀)、主題歌賞(嵐「I’ll be there」)で“トリプル受賞”を達成。. 月9『貴族探偵』プロデューサーと振り返る第1話&ドラマ化の裏側 (1/2)”, http://news.mynavi.jp/articles/2017/04/24/kizokutantei/, http://m.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/05/07/kiji/20170507s00041000255000c.html, 【インタビュー】嵐・相葉雅紀は、周りに「彼のために」と思わせる主役 - 苦労した『貴族探偵』役作り (2/2), http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/06/26/kiji/20170626s00041000131000c.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/05/22/kiji/20170521s00041000238000c.html, https://www.daily.co.jp/gossip/2017/04/09/0010079597.shtml, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/06/26/kiji/20170625s00041000304000c.html, http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170407-OHT1T50134.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/06/26/kiji/20170626s00041000248000c.html, “『貴族探偵』のパロディ要素支える召使いたちの個性 作り込まれたキャラクターを読む”, http://realsound.jp/movie/2017/06/post-82769.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/06/12/kiji/20170610s00041000459000c.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/06/27/kiji/20170627s00041000097000c.html, “【レポート】相葉雅紀主演『貴族探偵』は失敗作なのか? - 捜査一課の勝利と一抹の不安、悪い主人公と不穏な結末 (1/2)”, http://news.mynavi.jp/articles/2017/06/30/spring/001.html, “終盤で視聴率大幅アップ『貴族探偵』…相葉は口を開かない演技のほうが向いている?”, http://biz-journal.jp/2017/06/post_19438.html, http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4a53/, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/04/25/kiji/20170424s00041000257000c.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2017/05/02/kiji/20170501s00041000225000c.html, “嵐・相葉雅紀主演『貴族探偵』多重の叙述トリックを処理したフジテレビの“原作改変”がスゴすぎる! 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