仮面ライダーって名乗るのがおこがましいレベルで, 滅亡迅雷を「後で仲間化させよ」って下心出さずに普通に悪役として描けばよかった そういえば大和田さんその後どうなったのよ, >「では逆にAIと人間の違いとは?」 結局、仮面ライダーゼロワンは、つまらないというより、わからなかった作品かな。登場人物が何をしたかったのか、製作陣が何を伝えたかったのか、ひょっとしたら演者ですら、まるでわからないまま一年が過ぎた*1印象です。わからないなりに、いかにバズるか、いかに商業的に成功するかを突き詰めた結果、そこだけ見れば名シーンに思える画の継ぎはぎと、作劇上ほとんど必然性が感じられないベルトや新フォームの乱発、企業コラボの都合優先による初期設定のねじ曲げが生じたように見えました。, 紆余曲折を経て或人が辿り着いた、新しいヒューマギアにイズの思い出を吹き込んでイズの心を取り戻そうとするエンディング。正直、エボルトを無理やり生き返らせた*2のと同じくらい、この一年で描いてきた物語をひっくり返すタブーだったと感じます。ヒューマギアの死は人間の死と同じように扱う、ヒューマギアの心と夢を尊重するというのが或人の主張ではなかったのか。ぎこちない新イズのギャグを細かく修正する或人を見て、天馬博士とトビオとアトムを思い出した人は、少なくはないことでしょう。, 人間に喜んでもらえたことを満足そうに反芻する、一話の腹筋崩壊太郎は最高によかったんだけどなぁ……。, 最終章では、物語として面白くなったのと引き換えに、主人公の好感度がとんでもなく低くなってしまった……冬映画以外ではほとんど掘り下げられなかった人物背景から、撮影休止停滞期もあいまって、例年の主人公以上に、感情移入しづらいキャラクターだった或人社長。それでも、急に声を張り上げてギャグを叫ぶキツイ描写を除けば、終盤まではかなりフラットな気持ちで観ていたが、装備品も新会社もすべてAIにお膳立てしてもらう残念さが重なり、自ら助けた滅にイズを壊されて復讐鬼となるくだりで決定的に、(人類の)ヒーローとしては頼りにならないぞと思えてしまった。, 滅にキレてたけど、これまでの或人くんだってヒューマギアの破壊という、結果だけ見れば全く同じ行いを、何度も繰り返してきたわけだからね。イズはダメだけど、代わりがいるタイプのヒューマギアなら壊してもセーフ、みたいな都合に納得がいかない。というか最後の場面でイズが戻ることも暗示されており、ますます納得がいかない。自社製品の粗に目を向けない彼の行動は、とても我が儘で傲慢に見えるのに、身近な人間は誰ひとり、そのことに言及しない。自分で選んだ結果に、癇癪を起こし、主人公だからという理由で誰からも咎められず、善と夢の押し付けは悪である自覚もない。しかも自ら悪意に飲まれ、止めるのはヒューマギア(滅)任せ。ならば悪として倒されるのかと思いきや、急に湧いてきたゼロワンドライバーで滅にトドメのライダーキック。どうしたかったのかまるで意味がわからない。彼がこのまま許されるのなら、歴代で一番応援できない主人公かもしれない。*3, 似たような立ち位置で思い出したのが鎧武のミッチだけれども、彼はまだ高校生だし、悪いことを“悪い”と自覚して動いていたし、舞さんを失って最後に気持ちを改めたし、大人の助言を聞き入れたし、キャラソンの中二感もよかったし、なにより、彼は主人公ではなかったし。一般的に、嫌われやすい主人公として桐生戦兎が挙げられるのもよくわかるけど、彼も悪いことを“悪い”とわかっててやってたもんなあ。万丈やら美空やら一海やら、ぶち切れて、叱ってくれる仲間たちもいるし。ゼロワンの副社長組が、終盤で或人の太鼓持ちと化し、生かされなかったのが残念だ。, あと、長年主人公高岩ライダーに慣れすぎた弊害か、スタイリッシュ小顔マッチョ高身長に見えるゼロワンのデザインと、年相応より幼く感じる元お笑い芸人・飛電或人社長(軽いのか重いのかはっきりしない人物描写/特に初期の鳥ちゃん鮫ちゃん呼び)が、どうしても最後まで一致せず、同一人物と思えなかった。ほんと自分の感性の謎。これはもう難癖であり、たぶん、私自身の感覚のせい。同じアレでも仮面ライダーゲイツは同一人物に見えたし、バルカンやバルキリーだって、中身と同一人物に見えたのだけれども。元お笑い芸人なので、人々の「笑顔」にこだわるライダーになると思ったら、そんなことはなかったぜ。, 「なんでこんなことしてるんだろう?この人は」ってインタビューで演者がぶっちゃけるのあんまりすぎやしないか。内海成彰もリアタイ時わけわからんキャラだなと思ったけれど、それ以上に不遇な、しかも3号ライダーが出てくるとは思わなかった。ウィザードに出てくる真由メイジのほうが、仇討ちからの成長譚としてよっぽど物語していた気がする。ぴったりキャスティングに定評ある東映特撮にしては、井桁さんと刃唯阿の性格にミスマッチが大きすぎた。脚本が演者を生かす方向で、刃のキャラを井桁さんへ寄せていってもよかったように思う。ヒロイック女性技術顧問なら、アギトの小沢澄子のほうがよっぽど頼もしかったし、なんなら1993年放映の特捜ロボ ジャンパーソンのほうがしっかり描けていた疑惑すらある。, ヒューマギアに嫌悪やトラウマ持ちな人間が、それを乗り越えて和解するからドラマになるはず。「不破がヒューマギアに襲われた過去は捏造」は、個人的に「簡単に顔を変えられるブラッドスターク」以来の、あちゃ~感。そもそも、既にヒューマギア嫌悪が薄れ、不法投棄を拾ってきてくれる不破に記憶操作のネタバラシをする、タイミングも妙だ。とはいえヒューマギア憎しでエイムズの隊長にまで登りつめた、これまでの不破のアイデンティティはなんだったのか、という絶望感はドラマチックにも思えるか……敵に仕込まれた偽りの過去と仮面ライダー……どこかで聞いた話だな……?, Pが推しに推したお仕事対決、それが上手に見えていたならここまでガッカリしなかった。取り上げる仕事への敬意が全然感じられない、記号的で古典的な職業観、ならびにジェンダー観。下手すりゃバカにしてんじゃないのかってくらいに描写が粗くて拙くって、そこがとにかく見ていてしんどかった。近未来の雰囲気なのに飛電上層部がおじさんばかりだとか、美人秘書だとか、白衣の天使だとか、黒人風ラッパーだとか。令和という新時代をあれほど掲げていたにも関わらず、前時代的な職業描写に見えてしまった。営業マン・政治家・女子アナ・占い師・“社長”辺りは、あれを見て、その仕事に憧れるお子様がいるだろうか。, ゼロワンの物語では、古典的なロボット反乱ディストピアものっぽい冬映画が一番おもしろかった。冬映画でウィルが提示し、先代が有耶無耶にした「ヒューマギアの賃金(権利/尊厳)問題」に、本編内でゼロワン(或人/主人公)なりの答えが示されなかったのは、とにかく残念だ。ヒューマギアの夢や心や自由意志を或人社長が肯定するというのなら、それを商品として売り、金儲けしてる(=ヒューマギアに労働への対価を支払うことはない)飛電インテリジェンスは、奴隷商人と何が違うのだろう。, 人類滅亡という滅の呼び掛けに応じるヒューマギア個体が一定数いるのも、それでいいのか飛電インテリジェンス……な感じで、ある企業が自社の利益のため生み出した人工知能の暴走に巻き込まれる一般市民が不憫でならない。自らマギア化する個体も存在し、散り際には見事な大爆発。これに関しては、企業の責任として、天津のリコール宣言や与多垣のヒューマギア討伐が正解だった、と今でも思う。と思ってたら、最終回CM明けたら“ヒューマギア事業拡大のため新たな人工衛星を打ち上げる”みたいな後日談で、正気かゼロワン世界の世論???ってなった。, 登場人物の関係性、そこそこに雑さが目立つ。急に或人社長を認める副社長、急に刃さんを慕う部下たち、急に不破へキーを託す亡……それでも作中で一番関係性の積み重ねがあったイズと或人が作ったゼロツー最後の活躍は、心配して語りかけてきた不破オルトロスバルカンをボコボコにすることだった。これで終わりだなんて嘘でしょゼロツー……と唖然としていたら、さすがにゼロツーのまま終わると番組タイトル的にマズイというメタ的配慮なのかなんなのか、ポッと出の其雄(のシュミレーション?)から得られた謎の助言で、急にリデコの新アイテム生成して、光るゼロワン初期フォームで滅を蹴る……って、エモいんだろうかコレ???, 或人社長「ヒューマギアの死は人間の死と変わらない」って言ってなかった?、であれば、イズの同型機を作って、その尊厳を無視して旧イズの思い出を吹き込むのは、声優のセイネちゃんの件(死んだ親族そっくりのヒューマギアを所持する)と、何が違うのだろう。結局似たものが取り戻せて、それで満足できるのであれば、アークワン堕ちしたのは一体なんだったのだろう。アズとは何だったのか。そもそも、イズが雑に爆散する意味はあったのか。最終決戦が脚本都合以外の何物でもない気がしてもやもやする。演者を映画に出す都合にしても、本編ラストは新イズを完全に別個体として扱い、映画で奇跡の復活、にすればよかったのではないか。同じお人形さんでも、コヨミちゃんは復活しない&復活させない、前を向いた道を選べたのにな……。, “ヒーロー(=仮面ライダー?)に絶対言わせちゃいけない台詞”だったと思う。あれをギャグだと言うのなら、脚本が相当歪んでる。後で謝らせるくらいなら最初から言わせてほしくないし、それで不破との距離が縮まったようにも見えない。死の武器商人かと思いきや、ある時を境に衣装が毎度ボロボロになったAIBO1000%おじさんこと天津垓45歳とか、天津をパンイチにする亡とか、登場するたび主張が変わる雷とか、無駄だよアークは進化している迅とか、簀巻きの滅とか、ほぼほぼエボルト遺伝子なアークゼロとか、どこを見ても物申したくなる設定の仮面ライダーばっかりだったのは、ある意味ですごかった。暗殺ちゃん好きだったけど、彼は仮面ライダーになれなかったし。, ゴリラこじ開けで弄られ続け、生身で事故車のドアを吹き飛ばし、仮面ライダーバルカンを名乗る不破諫というあまりにもファンタジックすぎる演出は、ゼロワンの「物語そっちのけでバズりのみ期待した絵面」の最たるものとして大変趣深かった。刃隊長の場面と合わせて「例え変身能力がなくても、自由のために戦えば誰もが仮面ライダー」という、仮面ライダー龍騎のようなこと*4を表現したかったのはわかるが、バズり狙いが透けて見えるような、ドアを吹き飛ばす謎演出のおかげで心に響かなかった。或人ギャグ唯一の理解者、という設定も、まるで生かされないまま終わるとは……。, グローバルフリーズじゃなくて、ゼロデイじゃなくて、スカイウォールの悲劇でもなくて、デイブレイク。どこまでが史実だったのか。事故で亡くなった方の親族の話は一体なんだったのか。被害者が出たことが事実であれば、滅や天津をこのまま無罪放免にしてしまってよいのか。, 滅は父親ヒューマギアとしての役目を全うすべし……人間(或人)にとって都合のよいように働くことしか許されない商品ヒューマギアは、本当に夢のマシンなのか。アークに接続せぬまま人類滅亡理論に行き着いたチェケラだとか、戦意喪失した真犯人へのイズチョップだとか、シェスタの華麗な平手打ちだとか。アシモフのロボットシリーズに鍛えられた感性からすると、いちいちロボット描写がもう、あちゃちゃちゃちゃ~。せめて、ロボット工学の三原則くらいには触れてくれるかと期待したが、そもそも最初にヒューマギアを創った技術屋が出てこなかった。ヒューマギアにやらせてはならないこと、できないことが徹底されていない。人間との線引きができていない。脚本も監督も、統率が取れていない。だから、シンギュラっていないイズが舌打ちをする。どんな言い訳を後出ししようが、能動的に人間へ手を出した時点で、ヒューマギアという商品は、廃棄やむなしであるはず。会社の社長が(容易く暴走する)自社製品を、盲信的に「ヒューマギアは夢のマシン!」と言い続けてるから違和感あるのであって、或人が社外の人間で、ヒューマギアに救われた(ヒューマギアの親族を持つ)一般市民であれば、これまでの流れも印象が違ったと思う。, 555パロった台詞を無理に出してコラボTシャツ売ろうとするのは、頼むから勘弁してほしい。ただでさえ先輩ライダーの小ネタを混ぜるのは好みではないのだが、ましてや前作がお祭り作品で、令和という新時代を全面に押し出すライダーなのだから、過去の栄光に頼らないでほしかった。波乱バンジョーくらいなら、直接プレバン商売に絡まないし、まだ笑って見られたのだけれど。, やりたいこと(お仕事勝負、3号女性ライダー、企業案件、過去作コラボ、高額アパレル展開、Twitterでバズるためのネタキャラ化など)が先に決まっていて、その、やりたいことを見せるために、どうにかして物語の辻褄を合わせ、登場人物の感情の移ろいや行動の過程をはしょるから、どうしても全体がパッチワークになるのだろう。人(登場人物や視聴者)の感情を理解していなかったのは、アークでもアズでもなく、製作者そのものだったという皮肉なのかもしれない。, Pの傲慢さと、各脚本の歪さと、監督の撮りたい画と、演者の困惑と、単にコロナ禍の影響というよりは、様々な負の要素により整合性が取れなくなり、掛け違っていった結果の産物に見える仮面ライダーゼロワン。しかし大森P、怪文書なんてさぁ、ほんとマジで喋らないほうがよかったんじゃないかな。積もり積もった大森Pへの不満がいよいよ悪意に変わり、アーク様の思う壺になりそうなので自重するけれど、充電期間をじっくり置き、視聴者の懐疑的・批判的な意見にも目を通していただきたいなと切に願う。誹謗中傷は論外だけど、的を射た所感も、たくさん転がっているからね。, しかし、こうやって完成した作品にやいのやいの言うのは簡単だけれど、生み出す現場には計り知れない苦労もあっただろうとも思うので、劇場版や派生作品など、今後の展開に期待したいな。単純な勧善懲悪ではないストーリー、主人公の社長設定とダブルスタンダードが自分には合わなかったけれど、近未来の世界観とヒューマギアというモチーフ、スーアク勢の気合いの入った軽快なアクションは好きでした。フィギュア系のおもちゃもけっこう買っちゃった。感想を読んだり、筋書きを考察したりするのも楽しかったです。一年間、お疲れさまでした。, *1:やりたかったことがわからなかったのは、アイアンマン見たことないから、という可能性もあるけれど、それもなんだかなぁ。, *3:セイバーとのバトンタッチイベントにて、高橋くんが十代とは思えぬ落ち着きで、かなり堅実に良い仕事をしていただけに、余計もやもやする。, livvvvvveさんは、はてなブログを使っています。あなたもはてなブログをはじめてみませんか?, Powered by Hatena Blog