アサヒグループホールディングス(GHD)がオーストラリアのビール最大手、CUBを約1.2兆円で買収する。縮小する国内市場で競合からの猛追を受けるアサヒは、大胆な資金投下で海外に活路を求める。買収額は同社として過去最大規模。市場から「高値づかみではないか」との声も聞こえる。, 「日欧豪の三極体制が整う」。8月1日、アサヒGHDの小路明善社長兼CEO(最高経営責任者)は中間決算会見で7月19日に公表した豪ビール最大手、カールトン&ユナイテッドブリュワリーズ(CUB)の買収の意義を強調した。, 世界ビール最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー、ABインベブ)傘下のCUBは人口2500万人の豪州でシェア46%を握り、1.4%のアサヒのシェアは跳ね上がる。CUBは2018年12月期の売上高が日本円換算で1734億円、営業利益は748億円。寡占市場で収益性は高いが規模が小さく、1兆2096億円の買収額に「やや高い」(証券アナリスト)との声が出る。, 小路氏は「ハードな交渉だった」としながらも「妥当な範囲(の額)で買収できた」と語る。これまでも小路氏はアサヒのグローバル化を指揮してきた。16~17年にABインベブから、やはり約1兆2000億円で「ペローニ」や「ピルスナーウルケル」といった世界各国に販路を持つ収益性が高い高級ビール事業を買収。今ではアサヒの売上高の3割、事業利益の4割を海外が占める。, TAIWAN EXTERNAL TRADE DEVELOPMENT COUNCIL, 日経ビジネス電子版のコメント機能やフォロー機能はリゾームによって提供されています。. 日経BPのテクノロジーを核とした商品をご紹介します。, 受講者3000名以上!超・実践型マネジメント研修 6日間講座、異業種交流をしながら、真のリーダーシップを学ぶ!ミドルマネジャーに必要となる「知識・スキル・マインド」を徹底的に鍛えます!, 豪ビール最大手CUBは「カールトン」や「グレートノーザン」などの人気ブランドを持つが、販路は豪州が大半だ. 「誌面ビューアー」は、紙の雑誌と同じレイアウトで記事を読むための機能です。ウェブブラウザーで読みやすいようにレイアウトされた通常の電子版画面とは異なり、誌面ビューアーでは雑誌ならではのビジュアルなレイアウトでご覧いただけます。スマートフォン、タブレットの場合は専用アプリをご利用ください。 詳細を読む, 「クリップ機能」は、また読みたいと思った記事や、後からじっくり読みたいお気に入りの記事を保存する機能です。クリップした記事は、メニューから「マイページ」を開き「クリップ」を選ぶと一覧で表示されます。 詳細を読む, 日経ビジネス電子版では、閲覧を制限している状態を「鍵が掛かっている」と表現しています。有料会員としてログインすると、鍵の有無にかかわらず全ての記事を閲覧できます。登録会員(無料)でも、月に一定本数、鍵付き記事をお読みいただけます。 詳細を読む, 記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む, 記事末尾の「投票」ボタンを押すことで、その記事が参考になったかどうかを投票する機能です。投票できるのは1記事につき1回のみ。投票の結果はすぐに反映され、トップページの記事リストなどにも表示されます。評価の高い記事を選んで読むといった使い方ができます。 詳細を読む, 「この連載の続きが読みたい」「この議論の展開を見届けたい」と思った時に便利な機能です。「連載をフォロー」「シリーズをフォロー」は、その連載の新着記事が配信された際に、「議論をフォロー」は、その議論に新しいコメントがついた際に通知されます。 詳細を読む, 「ギフト(β版)」は有料会員がお知り合いに有料記事をプレゼントできるを機能です。有料記事に設けた「ギフトボタン」を押してシェア用のURLを発行。そのURLをメールやSNSで送れば、どなたでも24時間以内なら無料で記事をお読みいただけます。 詳細を読む, 優れた戦略立案は確かな情報源から。 新事業・サービスの開発や中期計画策定に役立つ アサヒグループホールディングス株式会社(以下「アサヒビール」)は19日Anheuser-Busch InBev SA/NV グループ(以下、「AB InBev 社」)から豪州事業(ビールサイダー事業)を160億豪ドル(日本円約 1 兆 2096 億円)で買収しました。この豪州事業では「Carlton」や「Great Northern」といったブラ … Copyright © 2020 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved. アサヒグループホールディングス(ghd)がオーストラリアのビール最大手、cubを約1.2兆円で買収する。縮小する国内市場で競合からの猛追を受けるアサヒは、大胆な資金投下で海外に活路を求める。買収額は同社として過去最大規模。市場から「高値づかみではないか」との声も聞こえる。 HOME > ブログ > 企業経営での留意点 > M&A > アサヒビールの豪州事業買収は高い買い物か?, 2019.07.22 カテゴリ: M&A、グローバルビジネス、企業経営での留意点。, アサヒグループホールディングス株式会社(以下「アサヒビール」)は19日Anheuser-Busch InBev SA/NV グループ(以下、「AB InBev 社」)から豪州事業(ビールサイダー事業)を160億豪ドル(日本円約 1 兆 2096 億円)で買収しました。この豪州事業では「Carlton」や「Great Northern」といったブランドを手に入れることができます。確か私も何度かオーストラリアにいた際はよくCarltonを飲んでいたという印象があります。, この背景には世界のビール業界の大型M&Aの余波があります。2008年、ベルギーのインベブが、バドワイザーで知られるアメリカのアンハイザー・ブッシュを買収・合併し、社名変更して誕生したのがAB InBev 社です。この際の買収総額は約5兆8000億円で、ビールメーカーの買収では空前の規模でした。その後2016年10月にはイギリスを本拠とするSABミラーの買収(吸収合併)を買収し、ビール飲料の世界シェアは3割に達する巨大企業となりました。その一方でシェアが高くなりすぎ、独占禁止法に抵触したため一部事業を売却、この際、アサヒビールはヨーロッパ事業を買収しています。今回も巨大になりすぎたAB InBevが有利子負債返済のため豪州事業を放出したのがこの買収の背景です。, 5年くらい前まではアサヒビールは国際事業のイメージほとんどありませんでしたが、現在は国際事業はグループ全体2.1兆の売上げのうち7千億を占める主要事業となっています(2018年度決算)。この国際事業では4600億欧州 1800億オーストラリア1800億とこの2か国に絞っており、中国からはほぼ撤退しました。中国事業についてアサヒは19.99%保有する青島ビールの株式を2018年3月に約1060億円で売却しました。あまり青島ビールとの相乗効果もなく国際業務については欧州と豪州に集中するという方針と思われます。, 欧州事業についてもう少し詳しく説明するとアサヒは2016年10月に西欧事業(英国、イタリア、オランダ)を2045億円(25.5億ユーロ)12月には東欧事業(チェコ、スロバキア、ポーランドなど5か国)を約8883億円(73億ユーロ)で買収しています。 一方、オーストラリアにおいては2009年と2011年に飲料事業の買収を行参入し、比較的堅調に推移してきたというところです。アサヒビールは国際事業の主軸をしばらく欧州と豪州に置くようです。, やはり一時的にではありますが買収の原資1兆2千万はすべて短期の借入金で調達するようなので財務体質は大幅に悪化します。今年の第一四半期までのDE Ratio(負債の資本に対する割合)は0.97でした。負債が資本の範囲内に収まった入れば財務的にはまずまずといったところでした。今回の買収でおそらくほぼ2倍を超えると考えられます。このDE Ratioが悪くなると何がまずいかと言うと財務体質が悪化ということで格付けが悪くなり、いろいろな調達金利が高くなる可能性があります。, アサヒビールとしてもそれはまずいと言うことで3000億円程度を劣後ローン的なもの(借入金ではあるが返済の優先順位が低く資本とみなされる)と2000億以内で株式発行(含む自己株分)で多少財務的インパクトを減らす措置はとるようですが悪化は避けられないと思います。, よくM&Aの際、それが高いか安いか測定する指標にEBIDTA(償却額、利息控除前税引前利益)倍率があります。今回の買収において簡易的に買収価額をEBIDTAで割ると約14倍で一般的な水準と言われる8~10倍を上回っており高めではあると思われます。簡単に言うと今回の買収額の1.2兆を回収するのに14年以上かかるということですから高いのでは・・と考えるわけです。ただし、これはあくまで過去の数字から見てということですからアサヒビールのグループに入っていろいろなテコ入れをして、将来利益がもっと高くなる体質になれば安い買い物にもなるわけです。, 今までの欧州事業などの動向を見ると2019年度予想でマイナス0.2%の売上収益の伸び(為替修正後+3.2%)ということで毀損しているということはないですが、テコ入れで大きく伸ばしているということもなくこのままでいくと成功したとは言えない状況ではあります。なんとなく海外の会社は買収して大きくなっているがきちんとアサヒグループとして運営がされているのか見えにくい状況ではあります。オセアニアとヨーロッパに主軸をおくといった戦略以外にはっきりとした国際戦略見えてこないですが、ここ数年密かに進行していれば何か見えてくるはずなのでそのあたりは楽しみです(逆に何もやっていない可能性もありますが)。, 慶応義塾大学経済学部卒、テンプル大学MBA(経営学修士)/公認会計士、税理士、ACCA(英国勅任会計士協会)認定IFRS Diploma/JPIA(日本プロフェショナル講師協会認定講師), アーサーアンダーセンで会計監査、会計コンサルティングを経験後、日本コカ・コーラ、GEの日本法人、米国本社で予算マネジャー、経営管理担当のディレクターなどを歴任。その後上場ベンチャーや外資系日本法人でCFOとして活躍後独立。.