Copyright (C) 2019 Japan Arts Council, All rights reserved. (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 歌舞伎の伴奏音楽は大きく分けると、三味線に乗せて歌う歌い物の「長唄ながうた」、三味線に乗せて語る語り物の「竹本(義太夫ぎだゆう)」「常磐津ときわづ」「清元きよもと」  猿翁【2】). Tone and Tighten Recommended for you の4つになります。, どれも似たようなスタイルなので初めての人には見分けがつきにくいですが、それぞれの決まりや特徴を解説します。, 長唄は芝居や舞踊劇の伴奏で詩を歌うように歌われ、リズミカルで明るく流れるような曲調です。笛や鼓などとともに歌われることも多く、集団での演奏だけでなくソロで聞かせたりとオーケストラ音楽に近いと言えます。, 演奏者は「長唄囃子はやし連中」と呼ばれ、衣装の色は様々なものがあり、演奏場所は舞台上手や中央、黒御簾の中になり、三味線は細棹が使われます。見台けんだい(譜面を置く台)は白木の桐でできた足が交差したものが使われます。, 竹本は義太夫とも呼ばれ、人形浄瑠璃を歌舞伎に移した義太夫狂言という芝居の伴奏で使われます。, 「太夫たゆう」と「三味線」の二人のペアで演奏されることが多く、三味線に合わせて太夫が登場人物の心情や場面の情景を切々と語るナレーションの役割もは果たし、「和製ブルース」とも言えます。, 演奏者は「竹本連中」や単に「竹本」と呼ばれ、衣装の色は様々なものがあり、演奏場所は舞台上手や二階の床が多く、顔を出すことも出さないこともあります。三味線は低音で響かせる太棹で、見台は黒塗りの房付のものが使われます。, 常磐津は語りの声が高いゆったりとした曲調で、軽やかさだけでなく重厚さも併せ持っています。三味線も語りもじっくりと聞かせるために生まれた歌舞伎音楽です。, 演奏者は「常磐津連中」と呼ばれ、衣装の色は柿色です。演奏場所は舞台下手が多く、三味線は中棹が使われ艶っぽい音色を奏でます。見台は朱塗りで丸みのある三本足でできたタコ足と呼ばれるものが使われますが、清元が使う黒塗りの一本足のこともあります。, 清元は高音の派手な語りと繊細な節回しに特徴があり、歌舞伎音楽の中では最も新しく遊び心に溢れています。高い裏声や鼻音を使った技巧的な発声方法も特徴的です。, 演奏者は「清元連中」と呼ばれ、衣装の色は緑色です。演奏場所は舞台下手が多く、三味線は中棹が使われ、見台は黒塗りの一本足のシンプルなものです。, 舞台下手の黒御簾くろみすの中の小部屋では、長唄囃子連中と鳴物の演奏者が様々な音楽を奏でます。これを下座げざ音楽(または黒御簾音楽)と言い、客席からは見えませんが10人以上の演奏者と数々の楽器が並べられています。唄や三味線が芝居のBGMの役割を果たし、大太鼓や鼓、様々な音色を奏でる道具が多彩な効果音で歌舞伎の舞台を演出します。, 他にも鳥や動物、虫の鳴き声、雨音、雷の音、波の音、川の流れなど芝居の中のあらゆる音が黒御簾の中で表現されているのです。, 歌舞伎の大きな特徴の一つに観客のかける掛け声があります。役者の登場時や舞台での決めポーズである「見得」をしたときなどに、「成田屋!」「音羽屋!」などと役者の屋号を観客が叫ぶものです。ときには屋号以外の「待ってました!」「たっぷり!」などといったものもあります。, これは「大向う」の掛け声と呼ばれるものですが、歌舞伎の舞台を盛り上げる重要な要素であり、芝居を進行させるための音の一つです。タイミングよく発せられた大向うは、ぐっと芝居を盛り上げて役者の気分ものってきます。, しかし、実際に観劇してみると、役者のセリフにかぶせるように大向うを掛けてしまう人がいることもあります。タイミングの合ってない大向うを聞くと、せっかくの芝居も興ざめになってしまうので、初心者の人はタイミングがわかるようになるまでは、常連客の熟練した大向うをよく聞いてみるのがいいですね。あと約束事として大向うは3階以上の上の席からかけるということも覚えておきましょう。, 歌舞伎音楽は伴奏音楽と効果音からなっており、唄と三味線や大太鼓などの楽器、その他にも昔から使われている様々な道具を使って演奏されています。, 芝居の雰囲気を盛り上げるBGMとしてだけでなく、時には場面のナレーションであったり、登場人物の心の内を切々と語ったりもします。, また、雨や風、鳥や動物の鳴き声などの自然界の音だけでなく、幽霊の出現や雪が降り積もる様子などの、本来はありえない音まで表現するほど多くの音があります。, このように音や音楽もとても魅力的な歌舞伎の舞台をぜひ一度見に行ってみてくださいね。, 歌舞伎役者はそれぞれ屋号やごうという、お店の看板のような呼び名を持っているのはご存知でしょうか? 歌舞伎をよく知らない人にとっては、そもそも屋号って何なのかがよくわからないと思います。 そして、屋号によって歌舞伎役者の格付けやランクが決まると言われますが本当でしょうか? ここではそんな屋号に関する疑問を解決し、歌舞伎役者のランクや屋号がど, 歌舞伎の魅力と楽しみ方を紹介するサイト「歌舞伎の達人」を運営しています。日本人なら一度は歌舞伎!と思っていましたが、いざ知ってみると想像していた以上の面白さにハマってしまい、「歌舞伎の達人」になることを目指して、月に一度は歌舞伎観劇を楽しみに日々生きています。十二代目市川團十郎の「毛抜」が一番のお気に入りです。, 篠笛は長い笛は低い音、短い笛は高い音を出すことができ、祭り囃子などで使われます。三味線の音の調子に合わせるために、12本の篠笛を使い分けています。, 能管は篠笛に比べ構造が複雑で非常に鋭い音色が出ます。三味線や唄に合わせることはないので一本しかなく、特有の音色で舞台の雰囲気を表現するために使われます。, お寺の鐘を小さくしたものです。時の鐘や人物の心理や情景を描写するときにも使われます。, 寺の場面や時の鐘などに使います。吊るして使うこともあれば片手に持って使うこともあります。, 立廻り(たちまわり)の場面や花見で賑わう様子などで使われます。本来は二枚ありますが歌舞伎では一枚だけで使います。, 鉦の中でも振って音を出すものを「すず」と言います。寺や宮殿の場面、諸国巡礼の場面の雰囲気を出すときなどに使います。, 二枚の金属板でできた小型のシンバルです。神仏が出現する場面や中国の場面で使います。, 三本の小さな足が付いた皿型の鉦です。たたくと松虫の鳴き声のような音がします。刀鍛冶の音でも使われます。, 西洋のオルゴールの音色に似せて歌舞伎用に作られたものです。蝶が舞う様子などに使われます。. 歌舞伎のお芝居中、バッタバッタと板を打つ音や、チョン!と高い音が鳴ったりして、その場の雰囲気を引き締めたり盛り上げたりする効果音があります。それが「拍子木」や「ツケ」と呼ばれる木の音で、歌舞伎のさまざまな効果を表現します。, それでは「拍子木」や「ツケ」は、主に歌舞伎のどんな場面で使われているのでしょうか? ここでは、歌舞伎の舞台で使用される、「拍子木」、「ツケ」について、ご紹介したいと思います。, 「拍子木」は、歌舞伎以外に、現在でも町内会の防犯パトロールなどで使うところがあるようなので、ご存じの方も多くいらっしゃると思います。二本の長方形の木を打ち合わせ、文字では「チョン!」と表現されるような高い音を出します。この拍子木自体と音の両方を、歌舞伎では「柝(き)」と呼びます。, 歌舞伎の「拍子木」は、通常、客席からは見えないところで打たれています。演技のきっかけを作ったり、役者に時刻を知らせる際に打ち鳴らされます。, 場面的には、お芝居が始まる時や幕切れの場面で打ち鳴らされることが多いです。終演の際に「チョンチョンチョン…」という拍子木の音に伴って幕が引かれたり、廻り舞台を使用した場面転換の際にも、太鼓などと一緒に効果音としてよく打たれます。, また、幕切れの前、役者の最後の台詞や所作の直前に「チョン!」と一本音を鳴らして、それを合図に幕が閉まるという役割もあります。これを「柝頭(きがしら)」と言います。, 「柝頭」は、役者が見得をきる場面の、ここぞ、という瞬間で打たねばならないため、そのお芝居を締めくくるタイミングを見極める役目を担っています。, 「ツケ」は、舞台上手(舞台に向かって右側)の端、客席から見える場所に黒い衣裳で座ります。役者の動きに合わせて、ツケ板と呼ばれる板に木を打ち付けて出す効果音で、動作や足音、物音を強調します。, ツケを打つ担当者を「附打ち」と呼びます。もともとは、役者付のお弟子さんが担当していたそうですが、近年では大道具方が受け持つようになったそうです。, 附打ちは、物語の重要な場面に差し掛かると、舞台に出て「ツケ」を打ちます。登場人物が表現する所作や、大道具、小道具の仕掛けの印象付けにも使われます。, 例えば、主要な登場人物が花道を駆けていく様子などを「ツケ」で表現する際、女性の走る音は「パタパタパタ…」と小刻みに柔らかく打ちます。, 対して、英雄の登場の際には「バタッ!…バタッ!」と大きくゆっくりと打って、堂々と力強く歩く様子を表します。足音ひとつを表現するにしても、立役、女形、子供衆、老け役など、それぞれに打ち分けがあるそうです。, 花道の引っ込みの際に、手足を振り上げて物凄い勢いで走っていく「飛び六法」では、附打ちの音でさらに迫力が増します。これは歌舞伎ならではの見せどころで、客席も盛り上がります。, また、大切な物を落とす場面などでは、通常は音のしない手紙のようなものでも、より強調させるために音を附けるそうです。音を附けることで、登場人物の感情の変化に気付かせる意味があるといいます。, 現実には音がしないものを表現するという意味では、「見得」を切る場面が「ツケ」の真骨頂といえるかもしれません。力強さを表現する幕切れの打ち上げ見得などは、最高の見せ場となります。, 「ツケ」は世話物、時代物、舞踊など、狂言の違いによっても、それぞれ打ち方が異なるそうです。さらに附打ちは、それぞれの役者の動きや呼吸に合わせなければならないため、高度な技術が求められます。.