私の父は、腹水を伴う進行胃癌だ。 がんを患っている父は抗がん剤治療をしていますが、本当辛そうです。余命があとどれくらいあるの開始ははっきりしたことは教えてくれませんし、これほどつらい思いをするならやめてもいいのではないかと思うのですが がん治療の中でも中心的役割を果たしている抗がん剤がアメリカや欧米諸国では使われなくなってきているという話を聞いたことはありますでしょうか。, がん治療は患者と医師の二人三脚で行なうものだとよく言われています。しかし、もしかしたらその医師はあなたのがんを治すことだけしか考えていないかも知れません。今回は熱血な医師こそ陥りやすい、がん治療の落とし穴についてお話します。, 手術や抗がん剤治療のメリットやデメリットをきちんと天秤に掛けて、どのような治療を選択すれば良いのか、5年生存率に隠された真実を読み解き、しっかりと考えていきましょう, 「がんが進行しているけど、最善を尽くす」という医師の言動が、外科手術でも抗がん剤治療でも最悪の結果を生むことは多いです。基本的にそういう医師は、がんをやっつけることに集中しすぎて、患者様がどうなるかにまで思いが及んでいない場合が往々にしてあるからです。, 例えば、すい臓がんなどは、欧米では40年くらい前から「ほとんどの場合、手術の対象にならない」とされているのですが、無駄に手術に挑み、少なくとも1~2年は生きられる患者様を数ヶ月も生きられない状態にするというケースが少なからず存在します。, また、抗がん剤においても、完治の見込みがまったくないのに、3種類もの抗がん剤を投与し続け、患者様の寿命を縮めてしまうというのは良くある話です。そういう医師は、どれだけ極悪な医師なのかと会ってみると、熱血で院内の評判も良い医師だったという場合がほとんどなのです。, 今すぐに治療を諦める必要はないのですが、無理な治療を無理やり続けるのは返ってよくないことがあります。今おこなっている治療に違和感を感じたら、私たちのようながんのコンサルタントや他の病院のセカンドオピニオンを受けるなど、他の手段を考えてみることをお勧めします。, 実は、がんの手術で生存期間が延びたことを立証した臨床試験は一つも存在しません。実際、日本でも死亡原因の1位はがんで、約30%の人ががんで無くなっています。約50%の人ががんになる時代なので、がんを患った方の約60%が亡くなるという計算になります。, がんの5年生存率は90%と軒並み高いのに、なぜこんなことになっているのかというと、5年生存率のデータには再発がんで苦しんでいる患者様も含まれており、生存率は完治率とイコールではないというトリックが混じっています。, 実際、日本で再発・転移がんがどれくらいの割合で起こっているのかという公式のデータは存在していません。分かっているのはがんになると60%の人ががんで亡くなるということだけです。日本ではほとんどの人ががんになると手術を受けるのに、この数字はすごく衝撃的な数字に思いますが、これが現実なのです。, 手術を受けることが出来たらがんは安心というイメージは、テレビや都合の良い人達によって作られたものかもしれません。手術には必ず合併症などの後遺症の危険が伴います。完治の見込みがない場合、無理に手術を受けることは返って寿命を縮める可能性があるということは知っておく必要があります。, がん大国のアメリカや欧米諸国では、「抗がん剤は増がん剤である」と見限られつつあります。がんの死亡者数が年々減少している米国では、抗がん剤はがんを治す上で無意味であることが早くから公表されています。アメリカ国立がん研究所のNCIでは、88年に数千ページにも及ぶ「がんの病因学」という報告書で「抗がん剤は増がん剤である」と言って世界を驚かせています。, また、違う実験では抗がん剤を3種類使うとがんは小さくなるが、寿命は7~10倍短くなるという報告もあります。, 抗がん剤は、その人に発生したがん細胞により効く時は劇的に効くことが多いです。しかし、抗がん剤はそのほとんどが「劇薬」や「毒薬」のカテゴリーに属す薬であり、その副作用は、正確には毒性と呼びます。なので効かなかった場合は、すぐに抗がん剤の使用を止めて、違う治療を模索することが結果的に延命効果がある場合が多いです。, 完治に向けた抗がん剤の使用は否定しませんが、延命に向けた抗がん剤の治療は返って寿命が縮まることが多いということは覚えておいた方がよいと思います。, アメリカなどでは、3大治療から免疫や遺伝子医療などの代替療法などにシフトしつつあり、年間数千人単位でがんの死亡者数が減ってきています。, 出典:OECD(経済協力開発機構) 2016年版 Your email address will not be published. 75歳のとき、肺に2cmほどのがんが見つかった玉木雄一さん(82)は、医師から「治療しなければ余命2年」と告げられて抗がん剤治療を開始したが、副作用に苦しめられて2か月で治療を中止、「逃病」生 …

余命や効かない事例も2.1 前立腺がんの抗がん剤治療で・・・ 前立腺がんは特に65歳以上の高齢の男性に多いがんなのですが、比較的進行がゆっくりで、寿命に影響を及ぼさないと考えられています。 抗がん剤も、完治の見込みがない場合においては、とてもお勧め出来る治療方法とは呼べません。 保険診療を行っている大病院の医師に「最後まで諦めないでなんとかお願いします」と頼むことは、寿命を縮める結果になってしまっているかも知れません。 がんの三大治療の一つである抗がん剤は、早期がんから進行がんまでさまざまながんの進行の局面で使用されますが、がん治療の現状では、がんの進行に伴い治療法が徐々に限られてきて残りは抗がん剤だけ…という場合はとても多いものです。, その際に使用する抗がん剤は、がんの種類や個人の遺伝子異常の違いにより異なりますが、同じ抗がん剤を同じ期間使ってもその効果が同じとは限りません。そのため、使ってみないと効果はわからないということが前提としてあります。初めて抗がん剤を使う場合、多くの方が悩まれるのはそのためでもあるでしょう。, 抗がん剤は良い効果だけを期待して使うものではなく、副作用も含めて把握し、より良く生活できるために使用していくものです。抗がん剤を提案されたとき、どのように考え取り入れていくか、あるいは使わないか判断材料としてこの記事をお役立てください。, がんの化学療法というと、主に抗がん剤を指します。さらに、乳がんや子宮体がん、前立せんがんにはホルモン剤も用いられ、それらも大きく分けると抗がん剤に含まれます。, 手術や放射線は、基本的にがんに対して局所的に働きかけますが、一方で抗がん剤はより広い範囲に効果をおよぼすことを期待された治療です。そのため広がったがん、あるいはがんが再生し広がることを予防する目的で使用します。主にステージ3や4の進んだ状態のがんや再発がんの場合、抗がん剤で治療していくことになります。, 効果を及ぼす範囲が広いがゆえに、がん以外の体内の正常な部分にも影響を与えることから副作用の問題がついてまわる抗がん剤ですが、副作用の軽減とがんを小さくする効果どちらにも優れた抗がん剤が徐々に使用できるようになってきています。, 例えば分子標的薬は、がんだけをターゲットにすることができる分、副作用を抑えることが期待できる薬です。大腸がんは通常の抗がん剤に分子標的薬を追加して使うことで延命効果が期待できるとされています。次々に開発される新薬により、抗がん剤による治療には新たな希望が生まれています。, がんを大きく分けると固形がんと血液がんに分けることができます。血液がんは体中を巡る血液に関係するがんのため、血流にのって全身に運ばれることで効果を及ぼす抗がん剤が大きな効果を発揮することが見込まれます。, 分子標的薬の一つであるイマチニブという薬は「慢性骨髄性白血病」に効果を発揮します。, 白血病は血液がんの一種であり、「急性骨髄性白血病」「慢性骨髄性白血病」「急性リンパ性白血病」「慢性リンパ性白血病」の4つに分けられます。日本では急性骨髄性白血病に次いで慢性骨髄性白血病が多く見られますが、イマチニブは慢性骨髄性白血病の多くの患者さんに見られる異常な染色体が作るタンパク質を標的にして白血病に大きな効果を発揮します。抗がん剤で治るがんとも言われるほど抗がん剤の効果が期待できるがんなのです。, 上記のように、抗がん剤による効果を比較的期待できるがんもある一方で、残念ながらそうではないがんもあります。また、がんの種類とは別に、がんの進行や個人差でも抗がん剤の効果に違いが出てきます。, それゆえ抗がん剤によって、延命できることもできないこともあります。延命がどれくらいの期間かも差がでます。, 医師は手術ができないときやがんの腫瘍を取り除くとき、患者さんの体が耐えられる限りの抗がん剤を投与し患者さんを救おうとしますが、抗がん剤を投与すると効果が期待できる反面、副作用も出やすくなります。抗がん剤を使うときはこれらをきちんと知っておくことが大事です。, 例えばご高齢の患者さんが、がんが縮小する効果が高く、抗がん剤を使えば2か月の延命が期待できると提案された場合、その副作用によって好きなものが食べることができなくなり、痛みや吐き気などの苦痛、寝たきりとなることも考えられるとしたら抗がん剤を使ったほうが良いと言えるでしょうか。, 穏やかに最期を迎えたいと思っているとしたらそれが叶わないかもしれません。2か月長く生きることができたとしても辛い時期が増えるだけかもしれません。, その一方、古い知識や聞きかじった情報だけで絶対に抗がん剤を使わないと決めている方がいるとします。効果が副作用を上回り、延命などの大きな恩恵を受けられる可能性が高い場合もあるのであれば抗がん剤を試す価値があるのではないでしょうか。, 抗がん剤の効果はケースバイケースであり、使えば延命できる、使わなければ延命できないと一概に言えませんし、仮に延命できたとしても使ったときの生活の質も考えることが必要です。, 外科手術ですべてのがんを取り除いたり、抗がん剤でがんをきれいに消し去ることができれば、それは素晴らしいことです。しかし、現状では患者さんを全員完治させることは非常に難しいことです。ですので、完治を目指すことが叶わない場合、抗がん剤を使っても使わなくても、「がんとどのように付き合っていくか」ということを考えることがとても大切だと思います。, 抗がん剤を使わないと延命できない、抗がん剤は絶対に使わない、どちらも正解でも不正解でもありません。がんと診断されたときから持っている悩みや苦しみを和らげ、穏やかに暮らせることが治療を含め、がんと共存していく際の目標になるでしょう。. 抗がん剤治療が行われるⅢ期、Ⅳ期は、治療をしなければ大体半年を生きられないほどの重い状態です。 それを考慮すると、治療を行うことで5年生存率を3割程度まで増やすことができるというのは、抗がん剤治療の効果を物語っているでしょう。 https://data.oecd.org/healthstat/deaths-from-cancer.htm, 上記の図が示している通り、アメリカでは死亡者数が過去20年間で22%以上も減少しています。逆に、3大標準治療に頼りきりの日本では年々がんの死亡者数が増えてきているがん大国になってしまっています。, 出典:国立研究開発法人 国立がん研究センター 抗がん剤は休みながら繰り返す 抗がん剤治療は同じ薬(または薬の組み合わせ)の投与を何クールか繰り返します。そもそも、殺細胞剤は分裂中の細胞を殺すので、1回薬を投与しただけで は、がん細胞を一掃することは出来ないからです。 胃癌と診断された時点で腹水がかなり溜まっており、腹水の細胞診で印環細胞癌の存在が確認されている。... 高度な腹水貯留を伴う進行胃癌と診断された父の治療としてSOX療法を選択してから数日たった2017年11月下旬、いよいよ治療が始まった。 ... 父の闘病記録を残すためのブログとして始まり、紆余曲折を経て、主にがんの話題を中心に医学についてあれやこれやと綴っていくブログになっています。. 父のがんは、腹膜播種している進行胃がんのため外科的な切除は適応外であり、可能な治療は基本的に薬物療法(抗がん剤治療)となる。, 父の抗がん剤治療にSOX療法を選択した経緯とその治療原理について簡単にまとめておきたい。, 抗がん剤は人体にとって毒であり、まさに毒を持って毒(がん)を制す、を地で行く薬と言える。, そのため、抗がん剤治療を実施するためにはその副作用に耐えられるだけの体力が必要であり、体力次第では抗がん剤で命を落とすことにもなり兼ねない。, ステージ4胃がんの場合、抗がん剤だけで非医療者の考える”治った”という状態になることはほとんどなく、少々語弊のある書き方をすれば、現状の化学療法は治すための治療ではなく、延命するための治療という現実がある。(早期がんの場合はまた話が別であるが), 従って、抗がん剤治療をした方が良いのか否かは患者ごとに慎重に判断しなければならない。, 抗がん剤治療が出来るか否かを判断する上では、パフォーマンスステータス(performance status; PS)という患者の全身状態を表す指標が重要となる。, 端的に言えば、患者一人で日中どの程度活動できるのかを指標としており、抗がん剤が投与可能と判断されるのはPS2までのことが多い。, PS2は日中の50%以上をベッド外で過ごせる程度の状態を指すが、入院時の父は極めて消耗しており50%以上をベッドで過ごすPS3以上の状態だった。, しかし、本人の強い希望とまだ60代になったばかりという年齢を加味して、トライすることになった。, 治療がすぐに始まらなかったのは、入院した時点では病理検査の結果が出ていなかったためだ。, 現在、胃がん治療では、がん細胞がHER2というタンパク質を出しているタイプかどうかで治療法が変わる。, EGFは最近、化粧品などでもよく目にすることが増えた気がするが、その名の通り上皮細胞の増殖や成長を促すタンパク質だ。, 癌細胞は基本的に上皮由来であり、EGFの異常な活性化と発がんの関係は様々な癌種でよく知られている。, 受容体とは、細胞の外からやってくる特定の刺激を受け取り、細胞内の情報へと変換して伝えるタンパク質のことを言う。, EGF受容体とよく似たタンパク質であり、細胞の増殖を促進する因子を受け取り、細胞の増殖や生存を調節するタンパク質である。, HER2が出ていた場合、それに結合する分子標的薬であるハーセプチンを使うことができる。, 分子標的薬は、その名の通り決まった標的にのみ結合するため、従来の抗がん剤に比べて副作用が少なく、体に優しいという利点がある。, 消化器外科の後輩に聞いたところ、胃がんの場合、噴門や幽門といった胃の入口や出口付近で出来たがんはHER2を発現していることが比較的多いそうだ。, ハーセプチンが使えない父の治療として、SOX療法、CapeOX療法、mFOLFOX療法が提案された。, いずれもプラチナ製剤とフッ化ピリミジン系薬剤を併用した治療であり、標準的な初回治療法(ファーストライン)だ。, TS-1は、テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムの3剤が配合されている薬であり、上述したフッ化ピリミジン系薬剤である。, この薬は、細胞の遺伝子(DNAとRNA)の原料(ウラシル)と非常に良く似た形をしており、この薬が癌細胞に取り込まれることで、DNAに必須となる他の成分(チミン)の合成を抑制したり、本来の成分と間違えてRNAに入り込むことで遺伝子からタンパク質が合成される過程を阻害したりするため、細胞死を促す。, 同じ作用を持つ薬は古くから存在するが、TS-1のミソは、がん細胞を殺す成分に加えて、それを増強する成分と消化管への副作用を抑える成分も配合されている点。, さらに点滴ではなく飲み薬であるという点も良いところで、消化器癌を中心に非常によく使われている優れた薬だ。, TS-1には口の中ですぐに溶けるOD錠(口腔内崩壊錠)があり、飲食物が殆ど喉を通らなかった父にはこれが決め手だった。, ちなみに、開発当初はS-1という名称だったため、今でも医療者間ではS-1と呼ばれることが多い。, もう一方の薬であるオキサリプラチンは白金(プラチナ)を含んでいる、いわゆるプラチナ製剤と呼ばれる薬剤である。, この薬は、遺伝子を形作っている特定の成分(グアニンやアデニン)に結合することで遺伝子の合成を妨害し、細胞死を誘導する。, 最初のプラチナ製剤であるシスプラチンに比べて腎臓に対する毒性が低く、大量の輸液が必要ないという利点があるため、今回の父のように腹水が溜まっている場合でも使いやすい。(輸液の増加 = 腹水の増加となるため), ただ、この薬には、使ったほぼ100%の人にしびれなどの末梢神経障害が生じるという特有の副作用もあり、メリットばかりではない。, ちなみに、オキサリプラチン投与後におきる感覚異常は冷えによって誘発されやすいので、冷やさないことが大事になる。, フッ化ピリミジン系薬剤とプラチナ製剤は上述したようにどちらも遺伝子の合成や読み取りを停止させる薬であり、併用すると効果が高まる。, 遺伝子は正常な細胞にも存在しているため、これらの薬は癌細胞のみならず正常細胞にも作用する。, これが抗がん剤の副作用の要因の1つになるわけだが、癌細胞の方がより効きやすいため、薬として成立している。, ただ、癌細胞の場合は、コピーを作って分裂・増殖する速度が正常細胞に比べて圧倒的に早いため、薬によるダメージを受けやすい。, 簡単に言ってしまえば、癌細胞は停止ボタンの壊れたカラープリンターをイメージしてもらうと良いかもしれない。, SOX療法は、プリンターのインク詰まりを誘発するインクもどき(TS-1)と紙を毛羽立たせて紙詰まりを誘発する特殊なコーティング剤(オキサリプラチン)を同時に供給することでプリンターを止めようとする治療だと言える。, しかし、基本的に全身にある全てのプリンター(細胞)に作用するので、毛髪や血球など、正常でも比較的印刷速度の速いプリンター(細胞)は止まってしまう影響(副作用)が生じやすい点が問題となる。原理上、仕方のないことではあるが。.