今回お話しするのは、ビジネスで個人、もしくは組織が影響を受けがちな「パーキンソンの法則」についてです。, パーキンソンの法則とは、1958年に英国の歴史学者および政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンが、自身の著作物である「パーキンソンの法則:進歩の追求」の中で提唱したものです。, 要約すると、「人は時間やお金を、あればあるだけ費やしてしまう」というような意味を表しています。, そして実はこの2つの法則は、ビジネスや会社組織において、とくに色濃く表れるという性質を持っているのです。, 「なんだか仕事がうまくいかないなぁ」というときには、このパーキンソンの法則が働いてしまっているということも少なくありません。, ただ逆に言えば、パーキンソンの法則を理解し、対策をとることによって仕事に良い影響を与えることができるという意味でもあります。, とくにこれらについて説明をしていきますので、ぜひこの機会にパーキンソンの法則を勉強し、ビジネスや組織運用に役立ててください。, これがどういう意味なのか、簡単に説明すると、「30分でできる仕事でも1時間の時間を与えられると、終わるまでに1時間かかってしまう」というようなことです。, たとえば、仕事量に関わらずいつも忙しそうで、何をやらせても納期ギリギリまでかかってしまう、という人を見たことがありませんか?, 10の物量の仕事をしているときにすごく忙しそうで、「あぁ、これがキャパのギリギリなんだろうな」と思っていたのに、いざ20の物量の仕事を与えられたときにも、なんだかんだでギリギリこなす、といった感じの人です。, 例として挙げた人の場合、結論から言うと、20の仕事をこなすキャパシティは少なくとも持っているということになります。, にもかかわらず、この人は10の仕事をこなすだけで余裕がなくなり、疲弊してしまうわけです。, つまり、本来20の仕事ができる時間を、10の仕事をこなすさいにもいっぱいいっぱいに使い切ってしまっているということなのです。, しかも、時間がある分余裕を持ってクオリティを上げている、というわけでもありません。, ただ1つ言えるのは、パーキンソンの第1法則にとらわれてしまうと、仕事量に関係なく、常に余裕を失ってしまうということですね。, ここからは、ビジネスの場で起こるパーキンソンの第1法則による事例を2つ紹介していきます。, この2つの事例は、どこの会社でもあるような事例なので、ぜひ自社に置き換えて参考にしてみてください。, まずは、会議の時間帯を変更することで、会議中の無駄な時間をなくしたとある会社の事例を紹介します。, にもかかわらず、会議は毎回決まった時間に始まり、決まった時間に終わっていたのです。, つまり、パーキンソンの第1法則が働いてしまい、1時間で終わるような議題であっても、3時間も4時間も話し合っていたわけですね。, その会議に出席していた社員の1人が、「これではいけない」と思い、ある提案をしました。, 今までは会議を朝一で行っていましたが、それを夕方の16時からに変更したいと提案したのです。, その会社の定時は5時半で、定時の5分前にはいつも、全社員でデスクの掃除をする時間が設けられていました。, そのため、会議が始まってから1時間半で、とにかく1度会議を締めて、各々のデスクへ戻らなければいけなかったのです。, すると、今まで3時間も4時間もかかっていた会議が、厄介な問題が発生しているときを除き、きっちり1時間半で終わるようになりました。, 結果、その会議に出席していた人たちはみんな、残業時間が以前よりも少なくなったのでした。, このように、会議というのはパーキンソンの第1法則が非常に働きやすい場所でもあります。, しかしこの事例の場合、1人の社員が時間変更を提案したことで会議を終わらせるキッカケが生まれ、結果、無駄な会議時間を大幅に短縮できたというわけですね。, 次は、部下への仕事の振り方を変えたことで、部下の仕事効率が大幅に上がった事例を紹介します。, 上司は部下に仕事を振るのですが、部下の要領が悪く、なかなか指定した時間に成果物が上がってきません。, 今までは100の仕事を5時間でやってほしいという形で指示を出していたのですが、仕事を細かく分解し、20の仕事を1時間でやってほしいという指示を5回出すことにしたのです。, なんと、従来の振り方をしていたときよりも、目に見えて成果物が出てくるスピードが上がったのです。, どういうことかというと、その部下は5時間という時間に余裕を感じてしまい、つい集中力を切らしてしまっていたのです。, ところが、1時間おきに締め切りがくるという状況を作ってあげたことで、部下はいい意味でのプレッシャーを感じ、結果、むしろ時間が余るくらいの仕事をしてみせたのでした。, このようにパーキンソンの法則は、自分ではなく部下に影響をおよぼしている場合もあります。, まず、時間に余裕がある場合は、自分で短めの締め切りを設定してしまうのが効果的です。, この場合は、2日目の1日だけを使って仕事を終わらせる、とみずから決めてしまうわけです。, そうすれば、時間の余裕がなくなり、良い意味での緊張感を持てることで、無駄な時間を使わなくなります。, 事例でも説明したように、大きな仕事で長い時間を使おうとすると、どうしても前半の部分で無駄な時間を作り出してしまいます。, そうすればパーキンソンの法則は働かなくなり、無駄な時間をなくすことができるというわけですね。, そして、組織でパーキンソンの法則の対策をする場合は、あえて人員を減らすという手段もあります。, そうすることによって、無駄な余裕がなくなり、社員に良い意味での緊張が生まれるのです。, パーキンソンの第2法則を簡単に説明すると、「以前に比べてお金に余裕ができたはずなのに、なぜか貯金ができない」というような意味合いになります。, ところが、出世して手取りが30万円になっても、なぜか貯金が一切できなかったのです。, つまり、15万円でも生活ができていたはずなのに、給料を多めに貰ったら貰った分だけ、ついつい使ってしまっていたわけですね。, この話を聞くと、「ただその人の金遣いが荒かっただけではないのか」と思うかもしれません。, しかしパーキンソンの法則は心理学のようなもので、人であれば誰でもやってしまう可能性のあるものなのです。, 実は、年収700万円の世帯がもっとも老後破産する危険性が高いというデータがあります。, 2018年の日本の平均年収は400万円台なので、年収700万円というのはかなり多い方だと言えますね。, それなのになぜ年収700万円の世帯が老後破産を起こしてしまうのかというと、年収700万円世帯の人の多くが貰った給料の大部分を使い切ってしまうからです。, さらにそういう人は、定年を迎えて収入が減ってしまっても、今までの生活レベルを落とすことができない傾向にあります。, 年収400万円でも十分平均的な暮らしができるのに、年収700万円貰っている人が生活レベルを上げて、それを落とせないまま老後破産してしまう。, このようにパーキンソンの法則は、一部の人にだけ当てはまるものではなく、多くの人に当てはまるものなのです。, では、このパーキンソンの第2法則がどのような形でビジネスに悪影響をおよぼしてしまうのか、というところについては、事例という形で説明していきます。, ここからは、ビジネスの場で起こるパーキンソンの第2法則による事例を2つ紹介していきます。, ここからは、営業への出張経費の渡し方を変えて支出を抑えることに成功したとある会社の事例を紹介していきます。, 少し多めに渡して、出張から帰ってきたときに領収書と余った経費を受け取り、計算をしていたのです。, 今までは渡されたお金を基準にして経費を使っていた営業が、お金を節約するようになったのです。, 要は、多めの出張経費を受け取っていたため、営業はその金額を基準にして経費を使ってしまっていたのです。, このように、お金を余分に用意してしまうと、結局それを使い切ってしまう、というパターンは少なくありません。, 経費についてはきっちりと計算し、できるだけ無駄な費用を使わせないように工夫しましょう。, ここからは、仕事用とプライべート用で通帳を分け、ビジネス資金を貯めることに成功した個人事業主のお話をしていきます。, その人は、ビジネスの規模を拡大させたいのだけれど、そのためのお金を作ることができないと言うのです。, しかし、その人のビジネスは現状でも大変うまくいっていて、お金が余らないとは考えづらい状況でした。, そこで詳細を聞いたところ、どうやら、利益が出た分をすべて生活費やプライベートでの交遊費に使ってしまっていたのです。, すると彼は、今まで貯められなかったお金をしっかりと貯められるようになり、ビジネスの規模拡大に成功したのです。, このように、パーキンソンの第2法則が働いてしまっているときは、お金を細かく区切ってみてください。, そうすることで、余分なお金を使わなくなり、無駄な支出を抑えられるようになるはずです。, まず最初の対策として、多めのお金を持たない、持たせない、という対策を行いましょう。, 人は余分にお金を持っているからこそパーキンソンの第2法則が働き、そのお金を使ってしまいます。, それなら最初から余分なお金は持たずにいることで、無駄な出費を抑えられるはずなのです。, 無駄な出費が多いなと感じたら、そもそも無駄なお金を持たない、持たせない、というところから改善してみましょう。, とくにフリーランスや個人事業主の場合、ビジネスで使う口座とプライベートで使う口座が同じという人もいます。, しかし、それではビジネス資金とあなたの給料の線引きがなくなってしまうため、無駄にお金を使うことになってしまうのです。, もしくは、あなたが会社の社長で、帳簿は経理が付けているというのなら、その帳簿のチェックをできるだけ小まめに行いましょう。, 社長であるあなたがみずから帳簿を小まめにチェックすることで、あなたが無駄な支出を見つけられるほか、社員が「無駄遣いはできない」と意識してくれるようになるという効果もあります。, 実は、パーキンソンの法則を克服すれば、ビジネスの利益率を大幅に上げることができます。, どういうことかというと、ここまでの説明で、パーキンソンの法則にとらわれなくなれば、時間とお金に余裕を持てるようになるというお話をしてきましたよね?, 今ある仕事の工数と経費を抑えることができれば、今より安いコストで商品を生み出すことができるようになります。, このようにパーキンソンの法則を克服することは、あなたの会社やビジネスの業績に直結します。, そのためにもパーキンソンの法則への対策はきっちり行い、無駄を省いたビジネスを心掛けましょう。, あとは、無駄な時間とお金を省ききったあとには、商品価格の見直しも行ってみてください。, 実は日本の中小企業や個人事業主は、商品が持つ本来の価値よりも安い販売価格を付けがちである、という事実があります。, しかし、商品価格を下げて売上を伸ばそうとす戦略は、中小企業の場合最適ではありません。, 薄利多売戦略を取れないスモールビジネスでは、価格競争ではなく、差別化によって売上を伸ばすべきなのです。, そのわかりやすい事例として、現在オクゴエ! では価格アップに成功し業績を大きく好転させた3つの事例を紹介しています。, この事例を見ていただければ、価格アップ戦略がいかに重要なことなのか理解していただけるはずです。, 事例については誰でも簡単に無料で確認していただけますので、この機会にぜひチェックしてみてください。, 今回は、社長の頭を悩ませるパーキンソンの法則について、その詳しい意味と対策をお話ししてきました。, パーキンソンの法則は、特定の人にだけ働くものではなく、多くの人が持つ習慣のようなものです。, ちなみに、パーキンソンの法則の対策をきっちり行い、組織単位で克服することができれば、会社の利益率が大幅に上がる可能性があります。, これは単純な話で、時間とお金の無駄がなくなるということは、無駄な工数と経費がなくなるということだからです。, つまり、今までかかっていた無駄なコストがなくなることで、結果的に利益率が向上するというわけですね。, 少しでも利益率を上げられるように、できるだけ無駄なものは省いていくようにしましょう。, それこそパーキンソンの法則の対策と併せて行えば、無駄なコストを抑えつつ価格を上げるということで、大幅な利益増が見込めます。, パーキンソンの法則の対策を行うさいには、同時に商品価格の見直しも行っておきましょう。, 現在オクゴエ! では、価格アップに成功し、業績を大きく好転させた3つの事例を紹介しています。, 商品価格見直しの参考にしていただけるはずですので、この機会にぜひこちらの方もチェックしておいてください。, お客さんからの抵抗なく価格アップに成功した