ベートーヴェンが作曲した5つのチェロ・ソナタは、j.s.バッハ以後はじめてチェロの機能を存分に発揮させた傑作として、チェロの新約聖書とも呼ばれています。 ベートーヴェンのピアノ ソナタ演奏について大変勝手なこと を言ってきましたが、他に歴史的名演に数えられるところでは、吉田秀和氏 が褒めた1902年生まれのイギリスのピアニスト、カッ トナー・ソロモンも聞いてみました。 <ケンプ/ベートーヴェン録音SA-CD~SHM>シリーズは、室内楽編。1965年に録音されたフルニエとのチェロ・ソナタ全集は、1966年のレコード・アカデミー賞を受賞するなど、世界中で絶賛されました。録音当時ケンプは69歳、フルニエは58歳。共に世界的なソリストとして活躍する二人のライヴ録音ということでも注目され、リリース当初から高く評価されてきました。今回ドイツ・グラモフォンのオリジナル・マスターから、独Emil Berliner Studiosにて初めてDSD化されました。 (C)RS, チェロ・ソナタ 第1番 ヘ長調 作品5の1 第1楽章:Adagio sostenuto-Allegro, チェロ・ソナタ 第1番 ヘ長調 作品5の1 第2楽章:Rondo.Allegro vivace, チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 作品5の2 第1楽章:Adagio sostenuto e espressivo-Allegro molto piu tosto presto, チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 作品69 第1楽章:Allegro ma non tanto, チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 作品69 第2楽章:Scherzo.Allegro molto, チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 作品69 第3楽章:Adagio cantabile-Allegro vivace, チェロ・ソナタ 第4番 ハ長調 作品102の1 第1楽章:Andante-Allegro vivace, チェロ・ソナタ 第4番 ハ長調 作品102の1 第2楽章:Adagio-Tempo d'Andante-Allegro vivace, チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 作品102の2 第1楽章:Allegro con brio. チェロ・ソナタ 第1番 ヘ長調 作品5の1 2. いわゆる「傑作の森」の時期の作品であり、交響曲第5番、第6番やピアノ協奏曲第5番「皇帝」が作曲されている中で、オーケストラ作品などのスケールの大きな作品を、ベートーヴェン自身の芸術的追求の成果としての音楽であると考えれば、室内楽作品は、あくまで僕の個人的な見解だが、親しい人間に感謝や友情・親愛の気持ちをよりいっそう表現できる音楽なのではないだろうか。, 5曲あるチェロ・ソナタのうち、最も有名なのが第3番だと思われる。1,2番が初期の作風、3番が中期、4,5番が後期というように、チェロ・ソナタ5曲だけでベートーヴェンの生涯の作風を俯瞰することができるのだ。これをピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲でやろうとすると大変だが(当然意義深いことではある)、チェロ・ソナタは5曲しかないので、ベートーヴェンの作風の変化をざっと理解したいと思っている人にはオススメである。 チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 作品102の2 第2楽章:Adagio con molto sentimento d'affetto-attacca: チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 作品102の2 第3楽章:Allegro-Allegro fugato, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Thema.Allegretto, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation I, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation II, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation III, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation IV, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation V, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation VI, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation VII, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation VIII, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation IX, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation X.Allegro, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation XI.Adagio, ≪マカベウスのユダ≫の主題による12の変奏曲 WoO.45 Variation XII.Allegro, ≪魔笛≫の主題による7つの変奏曲 WoO.46 Variation V.Si prenda il tempo un poco piu vivace, ≪魔笛≫の主題による7つの変奏曲 WoO.46 Variation VI.Adagio, ≪魔笛≫の主題による7つの変奏曲 WoO.46 Variation VII.Allegro ma non troppo-Coda, ≪魔笛≫の主題による12の変奏曲 作品66 Variation XI.Poco adagio quasi andante, ≪魔笛≫の主題による12の変奏曲 作品66 Variation XII.Allegro, https://cdn.tower.jp/za/o/9W/zaP2_G2974059W.JPG. (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 基本的には自由に使っていただきたいのですが、実用目的で使いたい方はこちらのページをご一読ください。, ブログに書いていない音楽の話やオススメの音盤などをつぶやいています。お気軽にフォローしてください!. 【曲目】 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン: disc1 1. ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 「クロイツェル」 作品47. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン. 第3番の1楽章Allegro ma non tanto、オープニングはチェロが無伴奏の旋律を奏でる。この旋律が耳に残る、大変美しいものなのだ。僕がベートーヴェンのチェロ・ソナタに興味を抱いたのは、この旋律に惹かれたからである。ドルチェで、レガートで、チェロという楽器の持つ音が最高に活かされている。このモチーフは1楽章の全体によく浸透しており、旋律の魅力は楽章の始めから終わりまで絶えることがない。 チェロ・ソナタ第3番 イ長調 作品69. ベートーヴェンのチェロソナタ。 2枚組の全集があつたのだが、いまは手に入らない模樣。 ただ、この1枚でも親しみ易い3番が入つてゐるので十分に樂しめる。 チェロはムスティスラフ・ロストロ … トップページ, しかし、チェロソナタは初期の作品5の第1番と第2番、中期の作品69の第3番、後期の作品102の第4番と第5番と、それぞれの時代の特徴や形式を代表するような傑作を残しています。ですので比較的初期に作品が集中しているヴァイオリンソナタ以上にベートーヴェンの作風の進化を示しているように思います。, 5曲のうち、最も良く知られていて一際人気の高いのは作品69の第3番ですが、作品5の2曲の親しみやすい魅力にも大いに惹かれます。一方で作品102の2曲には後期に見られるある種の理屈っぽさが感じられる為に、いつでも楽しく聴けるという訳には行きません。, なにはともあれ第3番は中期の"傑作の森"において「運命」「田園」「皇帝」などと共に書かれましたので、演奏時間こそ20分ちょっとと比較的短めながらもおよそ内容に無駄が無く、凝縮しきった大変な傑作です。, ベートーヴェンが様々な曲で試みたように、ここでもまたチェロはピアノと対等な役割を担っています。それ以前のチェロソナタは、実質「チェロ伴奏付きのピアノソナタ」でした。この曲のチェロ奏法は格段に高度な技術を求められるようになっていて、低音から高音まで広い音域が要求され、ピアノと時には寄り添い、時には渡り合い、かつ豊かに歌い上げなければなりません。, 第1楽章 アレグロ イ長調。2分の2拍子。冒頭のチェロの勇壮な第1主題を聴いただけで一瞬にして惹き込まれてしまいます。展開部に入っても、チェロとピアノの絡み合いが息つく間を与えません。曲は更に盛り上がってフィナーレに突入します。, 第2楽章 スケルツォ、アレグロモルト イ短調。4分の3拍子。チェロとピアノ共に鋭いリズムで切り裂くように奏でる精悍なスケルツォで大変に魅力的です。, 第3楽章 アダージオ・カンタービレ-アレグロ・ヴィヴァーチェ大らかな序奏部に始まり簡潔に終えると、直ぐに快活なアレグロに入り、音楽が疾走する中でチェロが優美な主題を大きく歌い上げます。これぞ正に『歌うアレグロ』の真骨頂ですが、このように勇壮でいながらも優美さを持つ音楽というのはベートーヴェンでなければちょっと書けません。聴き惚れているうちにあっという間にコーダに入り、チェロとピアノが白熱したまま堂々と曲が終わります。, CDを購入される際には、2枚のCDにまず5曲全てが収められていますので、もし好きなチェリストが全集を出して入れば、それを求められると良いと思います。そうでなければ第1番から第3番の1枚もの、あるいは第3番から第5番(このパターンは多いです)の1枚ものを求められれば宜しいです。, ピエール・フルニエ(Vc)、ヴィルヘルム・ケンプ(Pf)(1965年録音/グラモフォン盤) パリのプレイエル・ザールで行われたコンサートの全曲ライブ録音です。フルニエの素晴らしいテクニックと美しい音色が臨場感ある優れた録音で捉えられていて、共演するケンプのピアノも素晴らしく、両者による古典的な造形性を保つ極上の名演奏となっています。ライブでありながら演奏の完成度の高さは驚くほどで、これをリファレンスにするのには何の抵抗も有りません。第3番以外の曲も全て名演ですし、チェロとピアノの為の3曲の変奏曲作品も含まれていますので、これは是非とも全曲盤を座右に置かれて聴かれるべきです。, ジャクリーヌ・デュプレ(Vc)、ダニエル・バレンボイム(Pf)(1970年録音/EMI盤)この全曲のセッション録音が行われた当時、デュプレ25歳、バレンボイム28歳という若さでしたが両者の才能が溢れ出た素晴らしい演奏です。テンポは幾らかゆったり気味で、豊かな表情でスケール大きく歌い上げるデュプレのチェロがとにかく魅力的ですが、バレンボイムのサポートも不満有りません。古典的な造形性をはみ出しているわけでも何でもありませんが、やがて訪れるロマン派への憧憬が感じられます。リファレンスとしての完成度においてはフルニエに一日の長が有りますが、こちらもまた聴かれて損のない演奏だと思います。, ダニール・シャフラン(Vc)、アントン・ギンズブルグ(Pf)(1971年録音/Venezia盤) シャフランはロストロポーヴィチと同時代の旧ソ連を代表する名チェリストで、1949年のブダペスト、1950年のプラハの二つのコンクールでどちらもロストロポーヴィチと共に優勝を分け合っていることからも実力が計り知れます。ヨーロッパやアメリカ、日本へもツアーを行い活躍しましたが、ロストロポーヴィチほど一般の知名度の高さは有りません。けれども名器アマティの太い低音と美しい高音で表情豊かに歌わせた、このスケール大きく素晴らしいベートーヴェンを聴きさえすれば誰しもが魅了されることと思います。ピアノのギンズブルグも優秀です。この全曲CDはロシアのマスターテープをリマスターしたものですので音は良いですし、バッハの無伴奏チェロ組曲全曲と組み合わされているのでお勧めなのですが、残念なことに既に廃盤ですので入手は難しいかもしれません。, ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Vc)、スヴャトスラフ・リヒテル(Pf)(1961年録音/フィリップス盤) もちろんこの曲でスラヴァの演奏を外すことは出来ません。フルニエ盤と双璧のベストセラーとなったディスクです。もっとも私は第3番以降しか持っていませんが、出来れば全曲盤で入手されると良いと思います。チェロとピアノが対等に渡り合うという点ではこの二人以上の組み合わせは無いかもしれません。正にがっぷり四つの力比べをしている感が有ります。随所にみられる激しい音のアタックは、さながら対決をしているかのようで、「優雅さ」よりは「真剣勝負」の印象が強いです。ですので聴き手によっては幾らか好みが分かれるかもしれません。, パブロ・カザルス(Vc)、ルドルフ・ゼルキン(Pf)(1953年録音/CBS盤) もうひとつは大巨匠カザルスのモノラル録音で、フランスのプラドにおけるカザルス音楽祭でのライブ録音です。これは第3番以降のみのディスクですが、1951年のペルピニャンの収録と合わせて全集としても出ています。カザルス晩年の演奏ですが、ゆったりとしたテンポで雄大なベートーヴェンを聴かせます。何か曲の大きさが一回りも二回りも大きくなったような貫禄が有ります。壮年期のゼルキンのピアノがまた実に立派で素晴らしいのですが、主役はあくまでもカザルスです。リファレンスには向きませんが、やはりこれも是非聴いておいて頂きたい演奏です。, 投稿者 ハルくん 時刻 00時26分 ベートーヴェン(室内楽) | 固定リンク 2楽章はScherzo.Allegro molto、ここではシンコペーションを多用した強いリズムを持つ旋律が、チェロとピアノで交換しながら展開されていく。第1番、第2番のソナタと比較すると、チェロとピアノの有機的な繋がりが感じられるのではないだろうか。 Tweet, ベートーヴェンが器楽曲のジャンルで最も情熱を注いだのが32曲のピアノソナタ、そして16曲の弦楽四重奏曲だというのは紛れもない事実ですが、続いてはヴァイオリンソナタを全部で10曲書き上げています。それに比べればチェロソナタの5曲というのは決して多くは有りません。, ベートーヴェン 三重協奏曲(ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 ハ長調 作品56) 名盤, ベートーヴェン 「ミサ・ソレニムス(荘厳ミサ曲)」Op.123 名盤 ~心より出で、願わくは再び、心に入らんことを~, ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」全曲 名盤 ~ベートーヴェン生誕250年記念~, マーラー 交響曲第10番 嬰ヘ短調 <クック補筆全曲版> ~新たなる時代への習作~, ~名曲シリーズ~ ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調op47「クロイツェル」 名盤, ハルくんのハードロック・カフェ(管理人の姉妹ブログ) ロック・ミュージックについて楽しく語ります, Der Weg zur Deutschen Sprache/ドイツ語学習中のmicchikさんのブログ, オペラファンの仕事の合間に /クラッシック音楽やフィギアスケートの荒川静香さんを語るブログ. 都内在住のクラシック・ファンです。クラシック音楽の楽曲に関する話題を中心に、音楽・芸術・哲学・文学・美学などの話、聴きに行った演奏会や観に行った展覧会の感想、その他日常の諸々を含め、適当な文章を書き綴っていきます。「ボクノオンガク」というブログ名は、よくあるパソコンの音楽フォルダ名“My Music”の和訳と、小澤征爾さんの本『ボクの音楽武者修行』から。著者のプロフィールはこちら。. この件について、アメリカの音楽学者・ピアニストであるウィリアム・キンダーマンは「ベートーヴェンの主要な室内楽作品のうち3つが、ベートーヴェンの年金に関するいざこざの交渉をしてくれた人物に捧げられている」と述べている。今回取り上げるチェロ・ソナタ第3番は、そんな室内楽作品のうちの一つ。多くのパトロンがベートーヴェンを助けていた訳だが、金銭問題という、ひときわ厄介で、生活に直接関わる事柄の援助をしていた人物には、また一段と大きな思いがあったことだろう。 ベートーヴェンが作曲した10曲のヴァイオリン・ソナタのなかで、もっとも優れた作品として評価されているソナタで、フランク、ブラームスと並ぶ、vnソナタの最高傑作。 独立した緩徐楽章はないが、3楽章Adagio cantabile – Allegro vivaceでは、まず表情豊かなホ長調のアダージョ・カンタービレの序奏があり、ここで第1番、第2番のソナタのような形式、チェロの最もチェロらしい優美で息の長い旋律の美しさがしっかりと取り入れられている。この主題の材料もまた、楽章を通じて一貫して終楽章と綿密に結びついている。アレグロ・ヴィヴァーチェに入っても、至るところで先のアダージョの旋律の美をしっかりと引き継いでいるのだ。, 以前「幽霊トリオ」の記事を書いたときに、それは傑作の森の中で咲く可憐な花だと書いたが、これもまたその一つだ。親愛の情を込めた、小さな感謝の調べだろう。, このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。, Author: funapee(Twitter) ベートーヴェン研究の権威バリー・クーパー曰わく、このチェロ・ソナタ第3番は、「間違いなく、グライヒェンシュタイン男爵がベートーヴェンに今まで与えてきた全ての実質的援助に対する、感謝の意を込めた」作品だという。この作品が「感謝の調べ」であるという確たる証拠はないのだが、クーパーも言及しているように、少なからずそういう性質を帯びている楽曲であることは相違ないはずだ。 ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番 イ長調 作品69 ベートーヴェン研究の権威バリー・クーパー曰わく、このチェロ・ソナタ第3番は、「間違いなく、グライヒェンシュタイン男爵がベートーヴェンに今まで与えてきた全ての実質的援助に対する、感謝の意を込めた」作品だという。 ピアノ三重奏曲 第4番「街の歌」 Op.11 変ロ長調/Trio für Pianoforte, Violine und Violoncell "Gassenhauer" B-Dur Op.11 - ベートーヴェン - 終楽章に当時大人気だったヴァイグル*1のオペラ、《船乗りの愛》から主題を取った変奏楽章を持つため「ガッセンハウアー(=流行歌)・トリオ」の呼び名を持 … ベートーヴェンが器楽曲のジャンルで最も情熱を注いだのが32曲のピアノソナタ、そして16曲の弦楽四重奏曲だというのは紛れもない事実ですが、続いてはヴァイオリンソナタを全部で10曲書き上げています。それに比べればチェロソナタの5曲というのは決して多くは有りません。 ベートーヴェンの友人でもあるグライヒェンシュタイン男爵は、自身でもチェロを演奏する愛好家であった。この作品はグライヒェンシュタイン男爵に献呈されており、もしかすると彼の委嘱だったのではないかという説もある。